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上記のツイートは X(旧Twitter) に投稿した内容ですが、どんな機能なの?と思った人もいるかもしれないので、今回は BricsCAD のシートセット機能について解説したいと思います。


そもそもシートセットって何?

 シートセットの機能は、名前は知っているものの機能の中身について知らない、使ったことがないという人も結構いるのではないかと思います。
 シートセットの機能は、名前の通り、シート(主にレイアウト)をセットで扱う機能になります。シートは一つのファイルでもいいし特定のフォルダ内にある図面ファイルや、選択した図面ファイルにある複数のシートでもよく、複数のシートをひとまとまりで扱えるシンプルなプロジェクト管理機能です。

1656484951955-teSB8Nv6L2シートセットのパネル例



シートセットでできること

シートセットに対してできることはつぎのとおりです。

  1. シートセットの管理(シートの追加やグループ分けなど)
  2. シート(のファイル)を開く
  3. シートのメール送信
  4. シートのパブリッシュ(連続印刷)
  5. アーカイブ(ZIPファイル化)
  6. シートセットに設定可能なプロパティ情報の利用
  7. シートを新規作成する際のデフォルトテンプレートを指定できます

1656902758431-LxFdsJCrK1主に使うのはこの3つかもしれません

「シートセットに設定可能なプロパティ情報の利用」は、シートセットにカスタムプロパティという項目を追加して、そのプロパティ情報をフィールド文字列として各シートで利用するものです。
 例えば図面番号などをセットしておくと、シートが差し込みで追加された場合に、図面番号を自動更新して出力するといったことができるようになります。

1656485341369-8AwGFWRiffシートセットのプロパティ例

1657593958575-G7lcGXNQQNフィールド機能でシートセットのプロパティを挿入している例



シートセットのサブセット

 シートセットの規模が大きくなってきた場合、フォルダ構造のような形でサブセットを作成することができます。サブセットはネスト(入れ子)できるので、シーンに応じた分類を行うことができます。

1657594093051-ncBK0X4Mmoサブセットのあるシートセット例



シートセットからの出力

 シートセットの機能から登録したシートを一括で出力することができます。プリンタへの出力だけでなく、PDFファイルへの出力も可能です。

 出力はシートセットのツリーから、CTRLキーを押しながらシートをクリックしてシートを複数選択したり、サブセットの項目を右クリックしたりすることでサブセット内のシートを対象にできます。

1657173143283-sXeJl00YGsサブセットのポップアップメニュー

メニューから「印刷」を選択すると、シートのページ設定に基づいた出力がダイレクトに行われます。「パブリッシュ」を選択すると、パブリッシュコマンドにシートの一覧が追加された状態で出力されるので、出力前にシートの内容を確認してから出力できます。



他の .dwg 系CAD のシートセットも使える?

 AutoCAD® やその他の CAD にもシートセットの機能が搭載されているものがありますが、シートセットファイルの拡張子が .dst になっているものであれば、流用または共用可能な場合があります。
 前述したシートセットのプロパティ機能を活用した運用をしている場合、CAD によっては機能に対応していないこともあるかもしれませんので、運用前に試してみてください。



プログラムからシートセットをコントロール

 BricsCAD の API では、シートセットをコントロールする機能が実装されています。V21以降では、シートセットマネージャのCOMインターフェスが提供されるようになったため、LISP や VB/VBA からでも利用できます。(COMなのでWindows版のみで利用できます。)API の詳細については、開発者向けのリファレンスサイトの内容を参照してください。
 なお、アプリケーションストアのカタログにある、Lisp Developer Support Package (LDSP) をインストールすると、LISP のサンプルコードを参照できます。シートセット関連ののサンプルもありますので、カスタマイズしてみたい方は利用してみてください。

1657594903604-j14YlGf6oaLDSP の内容